2018年2月25日(日)、福岡市中央市民センターにてITキッズフェスティバル「エクサキッズ 2018」が開催されました。子供向けのプログラミングコンテストイベントとしては九州初にして最大級のイベントで、当日は初開催ながら3000人を超える来場者で賑わいました。
ITキッズフェスティバル「エクサキッズ 2018」とは?
2020年に義務化が迫る「プログラミング教育」。何を学び、どう教えるべきかについての議論が日々繰り広げられ、IT教育の分野に大きな変化が訪れようとしている中、すでにITを学んでいる子どもたちも多く存在します。そんな子どもたちのITへの関心や学びを止めることなく、互いに競争し刺激しあえる環境を用意することを目指したのが「エクサキッズ」です。
九州初の子供向けプログラミングコンテスト「ITキッズコンテスト」
ITキッズコンテストは子どもたちにとっての「IT甲子園」です。今回は、150作品以上の応募の中から一次審査を勝ち抜いた作品とクリエイターがステージで最優秀賞を目指して熱いプレゼンテーションを実演していただきました。プログラミング作品を中心に、小学生を対象としたチャレンジコースには12作品、中学生を対象としたエキスパートコースには13作品が一次審査を通過。「未来に足りないもの」を考えるアイディア部門コンテストも同時開催され、3作品が壇上にて発表を行いました。<<受賞作品一覧はこちら>>
【エキスパートコース】クオリティの高さに注目。中にはPythonで作った作品も
エキスパートコースで最優秀賞に輝いたのは、高田 青周さんの「1 ONE LIFE」、優秀賞にあたる家入一真賞には、中原 暁太郎さんの「Pythonで作る小学生向けSNS」が選ばれました。クオリティはもちろんのこと、製品化実現性の高さから票を集めた高田さんは、映画『ピクセル』を観てレトロゲームを作りたくなったことがきっかけで、キャラクターは全てオリジナル。審査員からは様々な質問が集中し、デザイナーとしての側面にも注目が集まりました。
エキスパートコース最優秀賞の高田青周くん(中学2年生)
一方、中原さんが発表したSNSには実務でも活用されるPythonを使用していることに審査員一同驚きの様子。「小学生は遊ぶときの連絡手段に困っている。アナログFBを作ってみたけど学校で棄却された」ことから開発へ踏み切ったという発言に会場が沸きました。
エキスパートコース家入一真賞(優秀賞)の中原暁太郎くん(小学6年生)
【チャレンジコース】ストレートな想い溢れるユニークな作品が多数
チャレンジコース最優秀賞には、田村 天磨さんの「最悪な誕生日」が選ばれました。Scratchで作った脱出ゲームには、ユニークでくすっと笑えるような仕掛けが。
チャレンジコース最優秀賞の田村天磨くん(小学5年生)
ミライキッズ賞(優秀賞)はArduinoを使った電子工作とプログラミングによるお絵かきマシーンが受賞。絵を描くのが苦手だったので絵を描く装置を作ってしまったという凄い発想でこちらも技術力、制作過程などが高く評価されました。
チャレンジコースミライキッズ賞(優秀賞)の中村侶唯くん(小学6年生)
【アイディア部門】社会問題に一石を投じるアイディアがW受賞
アイディア部門では「ネット選挙について」と「位置情報の立体化は可能なのか」というテーマでプレゼンを行った濵田 智鵬さんがW受賞を果たしました。問題への着眼点とアイディアの活用方法、再現性の高さに票が集まりました。
アイディアコースW受賞の濵田智鵬くん(中学3年生)
審査委員長総評
株式会社ガイアックス インフラチーム所属 / 尾形 鉄次さん
「自分の生活の中にある困りごとを自分でツールを作って解決しようとする姿勢に感銘を受けました。次回、登壇を目指す子どもたちには、自分の好きなことを現実にすることはもちろんのこと、自分の困りごとだけでなく家族や友人が困っていることにもぜひ目を向けてほしい。そうすると、自分にとっても、家族にとっても、街にとってもいい未来が開けると期待しています。」
会場は大盛況!プロゲーマーチーム&プログラミング体験、ウェアラブルデバイス展示に行列
会場内には、ドローンとプログラミングを掛け合わせたドローンレースや、マインクラフトを活用したワークショップや、ウェアラブルデバイス・3Dプリンターの展示など多数のブースコンテンツが設置され、中には入場規制がかかるブースもあり、終始大盛況でした。
ブース一覧はこちら
直感的に作れる!「しくみデザイン」のアプリでプログラミング体験
福岡のクリエイティブカンパニー「しくみデザイン」には、誰でも音楽演奏が出来るARアプリ「KAGURA」、直感的な操作でアクションゲームや絵本などの「アプリ」を作れるプログラミングアプリ「Springin’」、自分の絵と声でデジタル作品を作ることができる「paintone」の体験ブースを用意していただきました。
プロゲーマーと対戦!プロゲーミングチーム「Libalent」ブース
国内トップレベルのプロゲーマーが所属するプロゲーマーチーム「Libalent」からは、Splatoon2 部門の「Libalent Calamari」にご登場いただきました。参加者とのゲーム対戦はもちろんのこと、プロゲーマーの仕事についてのトークイベントも実施。ブース会場に入りきれないほどの人だかりが。
近未来的な異世界を身につける「IKEUCHI PRODUCTS」
「IKEUCHI PRODUCTS」とは、造形作家として注目を集める池内啓人さんが手がける既成品を改造したウェアラブルデバイス。今回は、「レトロフューチャー」をテーマに手がけた作品を展示していただきました。ブースでは実際に装着することもでき、近未来的なデバイスを身につけて写真撮影をする様子も。
その他ブースも大盛況でした!
マインクラフトワークショップ
ドローン×プログラミングブース
3Dプリンター展示
ボードゲームブース
ウェアラブルサウンドデバイスSoundMoovz
仮想通貨NEMワークショップ
オリジナルフォトブース
教育現場の外から提供する学びと価値 — IT教育のベストプラクティスとは何か
プログラミング教室対談
「エクサキッズ2018」は、福岡で活動中のキッズプログラミング教室の数社がタッグを組んで実現したイベントです。各社の教育スタイルを横断的に持ち寄り、商業的な競争ではなく指導内容と実績で競争することで、子どもたちと教育機関にとってのベストプラクティスを導き出すことを目的としています。
N高等学校 副校長上木原 孝伸氏
今回、メインホールで講演いただいたN高等学校 副校長の上木原 孝伸さんは、「これまでの教育では『みんな一緒に』『せめて平均点を』と言われていたのに、就職活動では『あなたの個性は?』と聞かれてしまいます。すでに、平均点を取っても幸せになれるとは限らない時代に突入しており、社会は答えのない問題を求め始めています。学校で受ける授業ももちろん大切ですが、知識から想像の時代へ変遷するなか、新しいものをつくる想像力、すなわち当たり前のものを疑う力が必要です。」と話していました。私たち大人が受けてきた教育や常識が当たり前でない未来へと変わりつつあります。
IT教育におけるベストプラクティスとは何かーーこれは今回の開催だけで出すべき答えではなく、継続性と多様性を受け入れながら常に考えていくべき問いです。プログラミングを学ぶことで新しいものをつくる。AI時代でもハートフルに生きる。そんな新しいテーマを目の前にした子どもたちのIT教育を推進するために、「エクサキッズ」は来年もステージを準備する予定です。
最後に — エクサキッズ実行委員長コメント
エクサキッズ実行委員長 古林 侑樹
たくさんの方にご来場いただき、心から感謝しています。今回は、九州・福岡を中心とした開催でしたが、全国はもちろんのこと国外にも注目してもらえるイベントとして成長していきたいと考えています。子どもたちとってはなかなか経験することのない大舞台だったと思いますが、今回のイベントをきっかけに友達ができたという子がいたのも嬉しかったです。来年の舞台に向けて、もっともっといいものを作って、今回のように大人たちを驚かせてほしいです。教育機関と子どもたち、そして会場にお越しいただく皆さまと一緒に考え、気付きを得て、教育スタイルに落とし込むことでIT教育にムーブメントを広げていきますので、来年も会場でお会いできることを楽しみにしています。
エクサキッズ実行委員長 / 子どもプログラミング教室 ITeens Lab. CEO
古林 侑樹
関連リンク
受賞者一覧はこちら:http://exa-kids.org/2018/contest
イベントアフタームービー:https://youtu.be/FSwteL1xs6s
ITキッズコンテストムービー:https://youtu.be/5H7NtwUFkyA