【EXA KIDS 座談会企画】 九州工業大学大学院 中尾 基 教授編 Vol.2

EXA KIDS 座談会企画 九州工業大学大学院 中尾 基 教授編

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「失敗が怖い」世代にはトライ&エラーが特効薬

古林 

中尾先生が子ども向けのプログラミングに興味を持ったのはどんなきっかけがあったのでしょう?

中尾 

大学で教えていると、今の教育があまりにも机の上だけで完結しているかを実感したんです。

あるとき、物理の授業でこんな問題を出しました。「400メートルリレーの走者がバトンを受け取ったとき、実際の速度の変遷を想像してみる」というものです。

結果、誰も正解できませんでした。

速度を求める公式は頭に入っているけれど、「実際のリレーではバトンを受け取った直後が最も遅く、その後で徐々に加速していく」という状況が予測できなかったんです。

古林 

公式を記憶していても、実際の正解にはたどり着けなかった。

中尾 

その通りです。

では、どんな教育が必要かといえばプログラミングのように挑戦して失敗して、次にトライする。こ

れに尽きると思います。

これはまさに工学的なアプローチ手法です。

最近の若い子は失敗することをあまりに恐れています。

古林 

どういったときにそう感じますか?

中尾 

たとえば、試験問題を解いている途中で答えを間違えることは悪いことではありませんよね。

でも、答案用紙を見渡してみて最終的な答えが間違っていると判断すると、答案をすべて消してしまうんですよ。

私は間違ったプロセスも大いに評価したい。

古林 

その考え方が培われるのがプログラミング教育で経験するトライ&エラーというわけですね。

中尾 

はい。

私が大学の博士課程だったときに物理シミュレーションをするためにプログラミングを初めて使ったのですが、これは頭を使わないといけないな、と苦労したのを覚えています。

それから十数年後、こうして教育に関わるようになって「公式ではない教育とは何か」と考えたとき、あの時に取り組んだプログラミングだと思いました。

古林 

公式に頼るのではなく、自分の頭で考える必要がある、と。

中尾 

ええ。

しかし、教えるとなるとハードルもありますし、コードを見ただけで拒絶反応を示す学生もいます。

そのときに出会ったのがグラフィック言語です。

Scratchのもっと前のアーテックのもので「前に進む3秒」といった型式を組み合わせていく簡単なものでした。

退屈でないと勉強じゃない?
楽しみの中にある学びとは

中尾 

これだ! と思いました。

実際に動かしてみると少しズレるので「もっと遅くしよう」「早くしよう」「タイヤの曲がる角度をもっと時間をかけよう」と試行錯誤が生まれます。

最初は大学生1年生を対象にした授業に取り入れました。工学の観点からいうと電池の消耗でモーターの動きが変わることがあります。

これに異論を唱える人もいますが現実に起こることを考えるには絶好の機会です。

こうした初期条件も現実の工学やものづくりでは大切ですからね。

だた情報工学を専門にしている先生からは「教育じゃない」「幼稚すぎる」と言われることもあります。

学習というより、ただ遊んでいるように見えるのでしょう。

 

私も4、5年前に出会ったのがScratchというビジュアル言語で衝撃を受けました。

グラフィック言語は通常のコーディングよりも分かりやすく、いろいろな答えをつくれるのでたとえ失敗したとしても大変な失敗にはなりませんし、ゲームのように遊びながらプログラミングを勉強することができるツールだと思います。

中尾 

大人の中には「仕事は面白くない」と思っている人たちが少なからずいます。

その様子を見ている子どもたちはいずれ仕事をすると分かっていて「仕事は楽しくないからお金をもらえるんでしょう?」という感覚になっている。

勉強もそうです。

楽しくないけれど、将来お金をもらうために勉強をしないといけない。

でも、私はそんな考え方で仕事をしていません。

子どもたちにも楽しむ中にある学びを経験してほしいし、ロボカーやドローンのようにもこうした側面があると思っています。

古林 

化学実験もそうですね。

勉強を教科書で知るよりも、先生が実演して変わるところを見せると子どもたちにも「すごい!」というインパクトを持って投げかけられます。

中尾 

これは子どもに限らず大人にも言えることなんですが、ネット検索をしているときは頭を使っているようで使っていないんです。

本を開いていたときより、頭を使っていないのではないかと思います。

頭を使うという観点ではプログラミングはとても良い。

「こうなったからこうなる」という論理的な思考、いわゆる理系脳という考え方を身につけるには非常に向いています。

>>>【vol.3】に続く

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