EXA KIDS 2022 チャレンジコース最優秀賞を受賞した中沢柊葉くんにインタビューを行いました。
【チャレンジコース最優秀賞】Release/中沢柊葉
https://youtube.com/shorts/m4nrZzg7240?feature=share
ゲーム作りをするようになった背景
–この度は最優秀賞おめでとうございます。
ここに到る経緯を色々聞いていければと思うんですが、今回の『Release』のようなゲームづくりを始めるまで、どんなステップを踏んできたんですか?
元々、絵を描くのが大好きで、そこがはじまりだと思います。
虫とか微生物とか、あとはよくわからないものとかをきれいにまとめて図鑑をつくったり、ふせんでパラパラ漫画をつくったりしていて。そんなときに、お兄ちゃんが『FlipaClip』というiPadのアプリを教えてくれて、それを使ってアニメーションをつくるようになりました。
–なるほど。
プログラミングではなく、アニメーションからスタートしたんですね。
それはいつ頃の話ですか?
3〜4年生くらいだったと思います。
朝起きたらとりあえずiPadを手にとって、学校に行く前の時間で1時間くらい描いて、みたいな感じでした。
当時は暇さえあれば描いていたと思います。
–かなりハマってたんですね。
はい。
それから3Dに興味を持ち始めて、Unityをはじめてみたんですけど、ちょっと難しかったり、面白くなかったりですぐやめてしまって、blenderで色々つくりはじめたんです。blenderはとにかく好きなものを形にできるのが楽しくて。
ただ、零戦とかをblenderでつくったりしてると、「やっぱりこれをゲームみたいに動かしたいな」と思って、またUnityに戻ってきたんです。
-Unityやblenderは教室とかで習ったんですか?
もしくは、家族や友達など、まわりでこういうのに詳しい人がいるんですか?
それが全然いなくて。
基本的には、YouTubeとかで調べながら自分で勉強してました。
–すごいですね。
自分で勉強するときって、「何をやったらいいかわからない」状態になることも多いと思うんですが、どういう部分にモチベーションを感じながら取り組んでたんですか?
バグが出たときなどは確かに悔しいんですが、自分がつくったキャラクターが動きだしたときはやっぱり感動するので。
–オリジナルのキャラクターに命が吹き込まれる感じですね。
今回の作品で言えば、とくにこの独特な世界観やグラフィックが大きな特徴のように思いますが、これは絵を描いていたときからのものですか?
いえ、絵を描いていたときはとくに何も考えずに、とにかく適当に描いて動かしていたと思います。
3Dをはじめてから少しずつ、たとえば「こんな巨大生物いたら面白いな」というように、自分の想像したものを形にするようになっていきました。
–なるほど。
そうやってこれまでつくってきたものは、まだ残っていたりするんですか?
アニメーションのいくつかはYouTubeに残ってます。
これは4年生くらいのときにつくったものですね。当時はこういうのをたくさんつくってました。
–いいですね。
柊葉くんが有名になったとき、これまで遊びでつくったものも価値が出たりしそうです。
ちなみに、こうした作品を外に見せる、みたいなことはやってきたんですか?
そうですね。
色んなコンテストに出してみたり、好きな微生物とかをウェブサイトにまとめたりはしてました。
ブログを自分で作ったり。
一回自分がつくったアニメが「デジタルえほんアワード」で準グランプリを受賞したこともあります。
https://shuharesearch.wordpress.com
–Aspergillus Artのアカウントもそうですが、積極的にアウトプットしてるんですね。
https://twitter.com/aspergillus_art
そうですね。色んな人に見てもらいたいというのはあります。
舞台もストーリーも
リアリティを追求した
–今回、最優秀賞作品に選ばれた『Release』について、本番では語りきれなかったこだわりなどはありますか?
当日はグラフィックに対するこだわりについてしか言えてないんですが、実は同じくらい舞台制作が大変でした。
舞台制作で一ヶ月半、プラス、グラフィック制作で一ヶ月、みたいな感じだったので。
–その、「舞台制作へのこだわり」というのは、どういう視点での話なんですか?
質感の部分なのか、それともプレイヤー体験の部分なのか。色々あると思うんですが。
たとえば、設計図を描くときに、「実際にその場所に行った時に違和感がないかどうか」という部分などをすごく考えました。あとは、ゲームには直接関係してこない部分も、きちんとつじつまを合わせていたりとか。
–リアリティの部分ですね。
そうです。『Release』の舞台は山奥の施設で、ゲームでは2階以上には行くことはないんですが、その世界にはたしかに2階以上が存在しているわけなので、壊れたエレベーターがある。
と、たとえばそういうことです。
–本当に、「ゲーム」の枠組みにとどまらず、ひとつの「世界」を作り上げているわけですね。
普段、他のゲーム、あとはアニメや映画など、どういった視点で見ているんですか?
とある大好きなゲームがあるんですが、そのゲームには言葉が一切出てこなくて、そこにあるものを自分で考察しなきゃいけないんです。この建物はどうしてこの形になってるか、とか、この壁はどうしてこんな素材なのか、とか。
そういう細かい部分や「裏側」のようなところに目を向けるのは好きですね。普段からどうしても目がいってしまう。ストーリーの部分についても同様で。
–アニメの裏設定みたいな。確かに面白いですよね。
今回の『Release』におけるストーリーにも、そういう裏設定みたいなものはあるんですか?
もちろんあります。建物の中に、過去に人体実験があったことを示す痕跡があったり。AIロボットの暴走の原因を暗示しているものがあったり。細部まで見てもらえると、色々とヒントが隠されています。
–すごいですね。本当に、「世界」をつくることが好きなんですね。
ゲームだけじゃなくて、映画とかつくっても面白そうです。見てみたい。
今後どういうものをつくりたい、などはありますか?
今回もそうなんですが、社会風刺の要素が強いゲームをやっぱり作って行きたいですね。
次につくろうとしているものも、そのような感じです。
–すごく楽しみです。
大まかに、どんな内容かは決まってるんですか??
エンディングはもう大体決まっていますね。
「こういうエンディングにしたら、プレイヤーがぞっとするんじゃないか」といったことを今考えているところです。
渾身の作品を実際に販売して
たくさんの人に楽しんでほしい
–今回、どうしてエクサキッズに参加しようと思ったんですか?
元々は親が見つけてきたんです。
他にも色々なコンテストに出してみたんですが、そのうちのひとつという感じで。
最初は舞台でプレゼンしている動画(オフライン開催時のもの)を見て、ちょっと怖かったんですが、最近はオンラインで開催されていると知って、わりと気楽に参加できました。
–参加してみてどうでしたか?
他のプレゼンターの発表や、審査員の方々についてなど、何でもいいんですが。
チャットで話せたり、他の子どもたちとつながれるのがとてもよかったです。
本番でも、雑談部屋で仲良くできた子がいたりして。
発表を聞いて、「どうやってつくってるんだろう」と気になった部分があったりしたので、そういうことを一緒に話せてとても刺激になりました。
–気になった発表はありましたか?
ひとつは『おおごえ うちゅう』ですね。発想が面白いなと。
あとは、しゃるるさんの発表も印象的でした。テーマが面白くて。
–しゃるるさんの発表は、柊葉くん好きそうですね。コラボしたら面白そう。
審査員の方々のコメントなどで、印象に残っているものはありますか?
「早くSteamで販売してほしい」と言っていただけたのはとてもうれしかった。
自分自身、そういったところでもっともっとたくさんの人に作品を楽しんでほしいと強く思っているので。
–本当に心待ちにしてます。
最後に何か、今後の抱負など聞かせていただけますか?
世界観やグラフィックについても今まで以上に追求していきたいんですが、さらに「飽きさせない工夫」として、アクション要素などもこだわっていきたいと思ってます。
そうしてつくったものを色んな方法で公開して、たくさんの人に遊んでほしいと思っています。
–楽しみです。
タイミングが合えば、ぜひ来年のエクサキッズにも出していただけると嬉しいです。
今日はありがとうございました。
ありがとうございました。
エクサキッズによる伴走の中で
明らかな変化を感じた
中沢柊葉くんの保護者さんにも少しお話を伺いました。
–柊葉くんのインタビューから何となく、親御さんからもとても応援されているのが伝わりました。
参加してみて、いかがでしたか?
出場が決まってから、週1回メンターさんと打ち合わせがあったりなど、とにかくバックアップ体制がすごいと思いました。
子どもたちの成長はもちろん、仲間ができたりなども、とても良い経験だったように思います。
–他のコンテストにも、色々と参加されているんですよね?
そうなんです。
今回は、夏休みを使って制作していたので、夏以降開催のコンテストを探して、色々と応募しました。
他のコンテストは当然ながら、「応募したっきり、引っ掛からなければ何もなし」という感じだったのですが、エクサキッズの場合は、先のメンターさんとの打ち合わせなど、「育てていく」感じがとても良かったです。
–ありがとうございます。
あとは、テーマの自由度も良かったです。
柊葉の場合は、好きなことをやってるだけなので、テーマから逆算して作品に落とし込んで、というアプローチはなかなか難しくて。
そのあたりが、今年のようなテーマであれば、どこかには当てはめることができるというか、どんな作品でも受け止めてもらえる器の大きさのようなものを感じました。
–今年はとくに自由度が高かったですね。
ただ、それぞれのテーマは一癖二癖ある感じなので、「やりやすい」と捉えるか「やりづらい」と捉えるかはかなり分かれたのかなと思います。柊葉くんにはぴったりハマったようですね。
そうですね。
とくに柊葉の作品は、「子どもが取り組むテーマ」として一般的に期待されるものとは少し違うところがあったりするので。そのあたりがどうかなと思っていたんですが、エクサキッズはそこを受け入れてくれたという感じです。
–エクサキッズにご参加いただいた前後で、柊葉くんに何か変化はありましたか?
明らかにありましたね。
参加前の話で言えば、「つくる」という部分に関してはいくらでも、それこそ何時間でもやれるところがあって、ただ、そうして作ったものを「人に説明する」とか、「表現・アピールする」という部分がどうしても苦手だったんです。
それが、エクサキッズのバックアップの元で毎回練習していくうちに、どんどん緊張が解けて、自然になっていくのを感じました。
–今日のインタビューの受け答えも堂々としていましたよ。
2ヶ月前は全然こんな感じではなかったんですよ。
運営目線で言えば、最初からメンターさんがついてサポートしていくというのはとても大変だとは思いますが、この変化を目の当たりにして、本当に感謝しています。
–よかったです。来年もぜひご参加いただけるとうれしいです。
今日は本当にありがとうございました。
ありがとうございました。
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