
デジタルネイティブ〜生まれながらにしてスマホがある子ども達〜

古林:
それでは、今日のトークテーマ「メディアリテラシーのウソ・ホント」に入っていきたいと思います。

メディアリテラシーに関しては、僕も普段スクールの方で保護者様からご相談をいただきます。
スマホやゲームが発育に及ぼす影響やパソコンとの付き合い方について。
そこで、EXA KIDS2019はメディアリテラシーをテーマとして取り上げています。
今回お集まりいただいた登壇者の皆さんには、メディアリテラシーに関するお話やご意見をいただこうと思っております。
よろしくお願いします。
まず、1個目のトピックは「デジタルネイティブ」についてです。
「デジタルネイティブ」という言葉はみなさんご存知でしょうか?
江川さん、説明お願いしてもいいですか?

江川:
生まれたときからインターネットが存在していて、スマホやタブレットなどを生まれながらに使うことができる1990年以降に生まれた世代、子ども達のことをデジタルネイティブと呼びます。
また、1976年以降にパソコンを使ったネットワーキングをやっていた世代をデジタルネイティブ、それに対して1990年以降の人たちはネオ・デジタルネイティブと言われることもあります。
古林:
江川さん、めちゃくちゃ詳しい。(笑)
特に、今の子ども達は物心ついた時からタブレットスタートとかありますよね。
それに伴って、いろんなことが起こってきています。
おそらく経験がある方もいらっしゃると思うんですが、スマホのロックを子どもが解除しちゃったりする。
子育て段階からスマホやタブレットが近くにある子ども達、彼らから見える世界って僕らが見てきたものと果たしてどう違うのかなというところについて皆さんと話をしていきたいと思います。

濱川:
私は子どもが3人いまして、一番下が今小学校1年生になったばかりなんですけど、結構家にタブレットとかパソコンとかスマホとか山のようにあったので、もう当たり前に使ってます。
私は子ども達がスマホやタブレットを使うのは全然いいと思っています。
一番気をつけてあげないといけないのは、セルフコントロールについては親がしてあげないといけないんじゃないかなと思います。
触ることに関しては、説明書がなくても使えるので、すごい楽ですね。
なので、子どものセルフコントロールをどうするか、というところさえ気をつけてあげれば、デジタルなものに触れるのはいいんじゃないかなと思います。
古林:
ありがとうございます。
他の皆さんはどういう感じでしょうか?

竹林:
このテーマについてどんなことを話そうかなと考えていました。
ただ、これは本当に大きなテーマで、子どもがずっとゲームやってると困るわけですよね。
でも、よくよく考えると、先月私も荒野行動にはまって仕事してなかったよなということを思い出しちゃったんですよ。(笑)
あれ、俺できてないじゃんかと。
これって子どものときだけではなく、一生つきまとう問題かなという気がしています。
今後デジタル機器やゲームなど、デジタルコンテンツの起爆力は絶対下がることはないんですよ。
ゲームは、いかに人が感激するように、集中するようにということを考えて作られているので、ハマるのは当たり前なんですよ。
だから、それにハマるな!っていうのはどうなんだろう?と思っています。
なので、ゲームなどのデジタルコンテンツの付き合い方に関して、子どもに我々が何か言うというよりかは、一生付き合っていくものとして考えるべきかなと。
自分の問題でもあって、非常に難しいという気がしてますね。

植山:
子どもの問題ではなく、大人の問題だというところに関しては同感です。
僕もデジタルな環境で生活しているので、子どもに注意できる立場にはまずないと思います。
あと、自分の学生生活の頃のコンピュータへの触れ合い方を振り返ってみますと、今の子どもたちってデジタルネイティブと言いつつ、結局アプリケーションを使ってるだけなんですよ。
アプリケーションから子ども達の方に向かってくるからこういう問題になっているんだと思います。
昔はコンピュータに興味がある子が、勉強していろんな壁を乗り越えてコンピュータに近づいて、コンピュータやデジタルそのものを触って詳しくなる。
そこから考えると、どちらがネイティブなんだろうな、と考えるところはありますね。
古林:
ありがとうございます。深いですね。
片野さんはどうですか?

片野:
脳ができていない状態で与えると悪影響を与えるものの、ある程度脳ができてしまえば子どもって未成年ですが体が小さいだけでもう脳は出来上がってるんですよね。
そういうことを考えると、経験の一つとしていいんじゃないかなと思っています。
古林:
なるほどですね。
江川さんはどうでしょうか?
江川:
私も小学生の子どもがいるんですが、3歳くらいの頃からタブレットを与えると教えてもいないのにスワイプを習得していました。
デジタルネイティブの子ども達は、周りの大人たちが操作をするところを見て吸収します。
これは自然なことだと思うので、なんとかしようと考えなくてもいんじゃないかなと思います。
古林:
ありがとうございます。
子どもがスマホやタブレットなどのデジタルコンテンツに触れることは自然に受け入れつつ、親が管理しなきゃいけない部分はある、というのが皆さん共通認識っぽいですね。
僕はスマホに入っているアプリケーションなどのツール自体やその仕組みが人間の心理的な弱みに引っ掛けているところがあると思います。
どうしても気になってしまったり、ハマってしまう仕組みがあるところはが少し問題かなと。
機能的にちょっと人道的ではないのでは?と思うアプリケーションや仕組みってあったりするんですよね。
これは大人であれば自己責任でいいのかもしれませんが、こういった仕組みに子どもが晒されてドーパミン(※)レベルが慣れてきてしまうのはいかがなものなのかなと僕自身は思うところがあります。
その辺りは皆さんはどう思われますか?
この機能を子どもにさせるのは人道的じゃないんじゃないの?というのがあったりすれば。
※ドーパミン:快感や多幸感を得る、意欲を作ったり感じたりする、運動の調節を行うといった機能を担う脳内ホルモンのひとつ。
濱川:
一番思いつきやすいのは「ガチャ」です。
ガチャは酷くて、いつの間にか課金されてたりします。
ここは企業倫理の話になってくるので、作る側がどう捉えているのかところをやっていかないといけません。
いろんなメーカーも子供が使えないように認証制度を設けたりしてると思うんですけど、そればっかりでもないので、それについて子供たちにどういう風に伝えていってあげるのか。
親はそれに対してどういったことを勉強していかないといけないのか。
ここを改めて整理しなきゃいけないんじゃないかなとは切実に思います。
片野:
すごく話が飛躍するかもしれないんですが、タバコとか覚せい剤とか脳や体に悪いものは色々あります。
しかし、大人の事情やお金や税金の事情で体に悪いけどタバコや覚せい剤をやっている人はいます。
このゲームの問題は脳や体に影響が少なからずあります。
そこは法律で整備して監視しないと、世の中って大人中心で回っているので。
結局将来、今の子どもが大人になって世界を作るのに、自分たち人類をダメにするきっかけを、今お金が欲しいという欲求でやってしまっているので。
法律じゃなくても、業界として「自分たちちょっと抑えようよ」という決まりや風潮があればいいなと思っています。
実際、世界の富豪が集まって、このままじゃ自分たちお金は持ってるけど、このままじゃ世界がダメになってしまうから何かやろうよ、という動きがあります。
例えば、ビルゲイツは資産の分散をやろうとしています。
そんなところに近いような気がしますね。
古林:
ありがとうございます。
竹林:
もっとゲームの中身を見ていく必要があると思うんですね。
例えば、マインクラフトというのは教育的にはめちゃくちゃいい。
あれをやることに関しては、他の生活に支障がない限りはやってもいいんじゃないかなと思います。
しかし、今マイクラ以外に子どもたち何やっているかというと、フォートナイトですよね。
フォートナイトなどのシューティングゲームをVRでやるとすると、本当に現実と区別がつかなくなります。
よく言われるのは、VRでは遠いところまでジャンプで飛び越せるんですよ。
そうすると、つい現実でもやってしまうという話を聞きます。
実例として。
昔から、現実とゲームの区別がつかなくなるゲーム病というのがあって、これは基本的に否定されています。
しかし、VRになるともしかしたらそういうことが起こる可能性があります。
だから、ゲームの中身を見ていって、VRでFPS(※)を子どもには絶対やらせない、などの細かい基準を作っていくべきかなと思います。
※FPS:ファーストパーソン・シューティングゲーム。自分の目線でゲームの世界を移動して、武器などを使って戦うアクションゲーム
古林:
教育に携わっている人たちとか子ども達の間ではマインクラフトやフォートナイトなど、ゲームの名前と内容がすぐに通じるんですよ。
お父さんお母さんがそれがどういったゲームか知らないというのもまた少し難しいところだと思います。
情報倫理っていう大きな考え方でいうと、例えばサブリミナル効果(※)は人道的じゃないっていう理由で禁止されているわけじゃないですか。
そういったようなガイドラインがソフトウェア開発にも必要なんじゃないかなという僕の個人的な見解があるので、ぜひ今日集まっていただいた皆さんと一緒にですね、声をあげて提唱していきたいと思います。
よろしくお願いします。
※サブリミナル効果:意識にのぼらないような働きかけや人間が知覚できない働きかけによって、人を動かす効果。
ゲームが及ぼす発育への影響〜ゲームは心や体に悪いのか?〜

次のトピックに行ってみたいんですが、目が悪くなるんじゃないか、体力が落ちるんじゃないか、姿勢が悪くなるんじゃないのか、などの発育に対しての影響も言われています。
これについて感じられていることはありますか?
濱川:
近い画面をずっと見ていると、目は悪くなりますね。
今多いのが斜視。目が片っぽだけ違う方向を向いてしまう。
お医者さんもよくおっしゃっていますね。
やっぱり時間は決めてあげないと、成長途中の目がどうしてもそこで固まってしまって、焦点が寄ってしまったりとかというのはスマホの出現で十数年なってきたので、だいぶんそういうのは報告されているみたいですね。
そこは気をつけたほうがいいと思いますね。
古林:
確か目については、11~12歳で出来上がってくるという話でしたね。
それまではあまり近くで画面を見ないようにした方がいいとは言われています。
植山:
インターネット経由して色んな知識を得る、便利な道具という観点で読書とあまり変わらないのかなと。
便利になっているというところもあると思うので。
そこで得た知識を使って運動に繋げるという親の手助けがあるかないかっていうところが必要なのかなと。
そこさえあれば、タブレットで情報を掴むということ自体が体力に直結するということではない。
親のアドバイスやサポートが少しでもあればいいのかなと。
古林:
僕そこでいうと、任天堂さんのゲーム開発って良心があるなあと思うんですよね。
「POKEMON GO」で歩く機会を作ってくれたり、Wiiのマリオテニスで親子間のコミュニケーションできるようにしていたり。
画面に1人で入り込まずに、フィジカルな部分や他人とのコミュニケーションをしっかり作ってくれる、という点で任天堂さんすごく良心があるなという僕の個人的な見解です。
江川:
実は私ちょっと意見が違っていて。
例えば、スポーツはいいことだよっていうのがもう一般化しちゃっているじゃないですか。
しかし、スポーツをやることによって体を壊していったりとか弊害っていうのは必ずあるんです。
だから、ゲームをやっているから目が悪くなる、首が悪くなるっていうのはそれと一緒では?と思います。
一般的にスポーツをやっていれば全ていいのかというと実はそうではない。
怪我をしていったり、体を壊すことはあるので、ゲームをやっているから体が悪くなるっていうのは短絡的というか、違う言い方をしたほうがいいんじゃないかなという気はしています。
片野:
その中で、今感じているのがテレビって昔は歩いていってチャンネル回してましたよね。でも、今はリモコン一つで操作することができる。
そういう弊害はあると思うんですよね。
ボタン一つでなんでもできる。洗濯もできる。
ゲームというより、人間が動かないようにして楽をしようという仕組みが出来上がってるんですよね。
だから、もうどうしようもない段階に入っている気がします。
古林:
スマホを子ども達が使うからとかじゃなくて、1個1個の動作自体が減ってきているから、そもそも体を使う機会が少ないっていうことですよね。
竹林さんの意見も聞きたいな。
竹林:
当然100年後とかには、人間の精神だけパソコンにアップロードしてアバターとして生きていくことになると思います。
すいません、これは極端な例ですが。
なので、あんまり動揺することはないのかと。
人間自体の行動っていうのは、言葉もないような大昔の時代に合わせて体ができているわけですよ。
でも、今は全然そんな時代ではないので、ボタンを押せばいい。
今もそうなってますけど、どんどんこれから間違いなくそうなっていく。
だから、目標とするところ自体が変わってくるので、体を作るところの。
なので、そんなに簡単に運動すればいいという問題ではないと思います。
江川:
体に対する影響の話でいくと、最近よく聞くのがe-sportsの話です。
保護者の方はお子さんの目や体が悪くなるのを心配して、やらせたくない方も多いんですよ。
e-sports自体もこれからは当たり前のものになっていきます。
子ども達の将来という観点で考えたときに、野球の大谷選手のようにスポーツでお金を稼げるようになるには、生まれてきたときのギフトで決まるわけじゃないですか。
でも、e-sportsはスポーツと比べて、体格の良さなどの生まれつきのギフトとはほとんど関係がありません。
e-sportsは今はまだ黎明期でもあって、頑張ればe-sportsプレイヤーなどの将来像が得られるというのもあるので、あまり規制をしてしまうと逆に夢を潰す部分があるんじゃないかなと危惧しています。
なので、要はそこに向けて子ども達がやりたい、興味があることであれば、大人たちの制限をなるべく無くしたほうがいいんじゃないかなというのが私の考え方です。
古林:
ありがとうございます。
やはり、プログラミング教室のオーナーさんとお話しするとやっぱり意見が洗練されていますね。
竹林:
このトピックは本当に難しくて、我々としてはなるべく制限したくないんですよね。
私もずっと制限しないようには考えています。
しかし、実際は実現することが難しいと考えされられた実例があります。
あるフリースクールが東京にありまして、そこは完全にやることがフリーなんですよ。
勉強もしなくてよくて、朝から自分で何をやってもいい。
そこで、みんな何をやっているかというと、ゲームなんですよ。
そして、一番何をやらないかというと体育をやらない。
そのフリースクールに行くと、生徒たちはビックリするくらい痩せてガリガリです。
やっぱり体育大事なのかな、って私はそのときちょっと思いましたね。
だから、ずっと運動しなくてゲームばっかりやってると、体には影響が絶対出るんですよね。当たり前ですよね。
片野:
体を動かすと眠たくなる、というところでいうと、やっぱり人間って労働して体を動かして夜眠るというリズムができてます。
その中で、私はITの仕事を30年くらいやっているんですけど、周りに鬱が多く、みんな病んでいくんですよね。
ガリガリになっていく人もいれば、ストレスで食べて太っていく人も。
いずれにしても不健康になっていく。
なんでそうなるのかというと、脳って使ってもあんまり疲れを感じにくいんですよね。
ゲームだとずっと徹夜でもやれる。
徹夜で野球の練習はやらない、やれないけど、ゲームだとやれちゃう。
ゲームをやること自体はそんな直接の影響はないと思うんです。
長時間やって睡眠不足とか、問題はそこだけなんだという気がしますね。
古林:
僕1個興味深いなあという話を聞いたことがあって、あるソフトウェア開発の会社のお話なんですけど。
そこにはエンジニアさんたちがたくさんいらっしゃって、結構環境としてはハードらしく。その中でグループが2つ分かれていて、釣りにいくグループと釣りに行かないグループで毎日の活力や元気が全然違うと言っていました。
その人たちが特段何かしているっていうわけではなく、釣りに行くエンジニアと釣りに行かないエンジニアで全然顔や活力、元気が違うっていう話を聞いたんですよね。
植山:
子ども達は楽しいことをゲームしか知らないから、ずっとゲームばかりやっている。
先ほどのフリースクールと同じようなタイプのものにcorder dojoという組織があります。
corder dojoは場を提供するというところですので、基本フリーなんですよね。
そうすると、子ども達はマイクラをプレイするばかりになる。
マイクラしか楽しいことを知らないんだ、と思って。
なので、入門としてbiscuitやScratch教えたりして、どんどん試して何か楽しいことを増やしたいなというのが僕たちの気持ちです。
先ほどの釣りの話も、何か楽しいことがたくさんある人の方が、頭のモードが切り替わりますよね。
頭が切り替わっているからこそ、活性化し続けている。
同じことやり続けていると、疲れるということなのかな?と思いました。
古林:
素晴らしいご意見ありがとうございます。
僕は単純に自然と接するといいのかなあというくらいの感覚だったんですけど。
片野:
あと現場の目線から言うと、忙しい時期には土日も働くんですよね。
そうなると、この日の釣りに向けてこのシステム作ろう!という目的ができるんですよね。
釣りなどの楽しみが何もないと、土日は仕事しかないから、平日はパフォーマンス出にくいですよね。
メリハリがつくと、釣りなどの遊びをみんなで約束しているから、終わって行かないと!っていう目標ができる。
そういうのは大きいかなと思いました。
IT教育者が子ども達に教えたいこととは

古林:
ありがとうございました。
最後のトピックに行こうと思います。
デジタルネイティブな子ども達に、我々が教えるべきことについて考えていきたいと思います。
僕がこれ一番考えるきっかけになったのが、2014年くらいのグーグルサイエンスフェアでの14歳の女の子が行った講演なんです。
小学生や中学生のときのSNSのグループはずっと残って、古い繋がりを切ることができない。
返信しなかったら返信しなかったで付き合いが悪い、無視するなと思われる。
今の子ども達って、僕らの青春時代と結構違う思いをしてるのかなっていうところはあるんですね。
子ども達のサイバー空間上のコミュニケーションって、結構傷つくことが多いと。
これをどうしようかなと考えた結果、メッセージを送信する前に、「バカ」や「アホ」などの攻撃的な言葉が含まれているのを検知したらポップアップを出すんですよ。
「他人を傷つける言葉を含んでいるけど、本当に送っていいんですか?」って。
そのイエスかノーを選択して、メッセージを送るかどうかを決めることができます。
これによって実験的に95%の悪意あるメッセージが取りやめられたと。
こういう単なるワンクッションを挟むことによって、SNSでのいじめなど、子ども達同士が傷つけ合うっていうことを防げるんじゃないかということで、そのソーシャルプロジェクトをやっていた14歳の少女の講演を聞いたんですね。
こういったことを子どもながらに考えてくれるはすごくいいことだなと思っています。
こういうことを子ども達に教えていきたいなあと。
今の子ども達に教えたいこととかあればご意見とかいただきたいなと思います。
江川:
私はシステムエンジニアの仕事をずっとやっていて、今子ども達にプログラミングを教えるというときにプログラミング的思考とか論理的思考みたいなことをいうんですけど、これって何か大きな仕事をやるときに小さく分解して考えることだと思うんですよ。
タスクをブレイクダウンする、大きな物事を小さく分解して考えるということを私は子ども達に教えています。
それは何のためにやっているかというと、いじめなどの問題が起こった時って、形が定まらずにモヤモヤした形で襲ってくるんですね。
それがモヤモヤしてるから、ものすごく大きく見える。
例えば、誰かからこんなこと言われた、っていうことはものすごく大きく見えたりするんだけど、それはなぜなのかって小さく分解していくと実は小さなことだったりする。
これがプログラミング的思考や論理的思考が活きるところだと思っています。
大きな問題が出てきても、小さく分解していくと、実はそんなに気にすることないよ、と。
そうすると子ども達ってもっと生きやすくなるんじゃないかなっていうのが私が教えていきたいと思っている内容です。
古林:
素晴らしいですね。
教育者がいると本当に胸がアツくなります。
片野:
今、チャットやラインがありますけど、そういうのってすごく言葉が冷たく伝わるんですよね。
その中で、私も開発の現場に出てますけど、コミュニケーションをメールとかチャットで済ませると、気持ちがこもりにくい。
それが原因ですごく険悪な関係になっている人がいて。
でも、結局直接話すとそうでもないんですよね。
私たちが小さい頃って、直接会って喧嘩して言葉で傷つけあって心が痛い、殴り合って痛いと実際感じて、相手の反応を見てたんですよね。
チャットとかラインだと冷たい言葉でバーって言って、気持ちが帰ってくるインタラクティブや戻りがないので、体験が共有できないですよね。
チャットツールって便利だけど、気持ちはあんまり伝わらないんじゃないかな。
気持ちは直接話したり表情とかそういうところで伝わるのが大きいというところが重要かなと思いますね。
古林:
コミュニケーションは人と人で覚えなさいということですね。
ありがとうございます。
竹林:
今の子ども達ってチャットの世界が自分の当たり前の世界になっちゃってるんですよね。
それ以外にもプログラミング世界とか3Dモデリング世界とか色んな面白い世界がある、ということを我々は伝えられるというのがすごく大切で。
というのも、子どもがすごく悩んでるときに、親御さんってそんなにIT詳しくなかったりするじゃないですか。
色んな世界を我々は親御さんと子ども達の中間あたりに立って、子どもに色んな世界を見せてあげようと強く思いますよ。
そういう意味で、色んな世界を教えてあげるというのが我々の役割だと感じています。
濱川:
一番大事なところは何かなと保護者の方とも話すんですが、やっぱり貢献意識を持つということですね。
子どもが誰かの役に立つとか、これをすればどうなるんだろう、もうちょっと街を良くするためにはどうしたらいいのか、そのためのツールとしてプログラミングがあるんだよっていう感じ。
プログラミングを何のために使うのかっていうところを中心にやっていこうと思っているので、もちろん子どもはまだ世の中とか社会のことはわからないと思いますけど、みんなと一緒になって良くなりたいとかみんな楽しくなりたいとかっていう気持ちはたくさん持ってると思うんですよね。
そういうのをどんどん自分たちでやることで、そこから繋がっていくんだよっていうところを中心に教えて行って、その1つの手段としてこういうものがあるよってしていく感じですね。
古林:
ありがとうございます。
植山さん何かありますか?
植山:
プログラミング教育については、論理的思考力がよく言われますよね。
プログラミングではなくても、パズルを解くだけで論理的思考力を養えるようなアプリケーションはいっぱいあるんですよね。
だけど、それを解くだけじゃなくて、僕たちは作品を作るっていうとこを伝えるようにしています。
それは何が違うかって考えたときには、僕らはルールを決めてるんですよね。
ルールに従って行動するだけじゃなくて、ルールは作れるんだよ、変えられるんだよ。
でも、一般の社会では法律などのルールを変えることはなかなか実現しづらいわけですよ。
だけど、ものづくりだったらできるんですよ。
自分の作品は俺様がルールだよ、っていう小さな体験を子どもの頃から積み重ねていって、どんどん大きな作品を作る。
それを実践していく中で、ルールは変えてもいいという意識を持てば、いい感じの大人になれそうな気がしています。
古林:
この後の子ども達のプレゼンテーションがとても楽しみになるお話でした。
(対談の後に、プログラミングコンテスト『ITキッズコンテスト』が行われました。)
これで対談を終わりたいと思います。皆さん、ありがとうございました!
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